動脈硬化の検査、原因と改善について
動脈硬化とは
動脈硬化は、動脈の血管内の壁(動脈壁)が厚くなり、硬くなった状態です。これは、動脈壁にコレステロールや脂肪などの物質が蓄積し、プラーク(脂肪沈着物)が形成されることによって引き起こされます。動脈硬化は心臓病や脳卒中などの深刻な健康問題の主要な原因となります。
動脈硬化の原因
動脈硬化の原因には以下の要因が含まれます。
- 脂質異常症:LDLコレステロールが動脈壁に沈着し、プラークを形成します。
- 高血圧:動脈壁に負担をかけ、損傷を引き起こします。
- 喫煙:血管を損傷し、プラークの形成を促進します。
- 糖尿病:高血糖が動脈壁を傷つけ、動脈硬化のリスクを高めます。
- 肥満:脂肪組織が血管に負担をかけ、動脈硬化のリスクを増加させます。
- 遺伝的要因:家族歴がある場合、動脈硬化のリスクが高まります。
- 不健康な食生活:飽和脂肪やトランス脂肪が多い食事が動脈硬化のリスクを高めます。
動脈硬化の検査
動脈硬化の診断と評価のために行われる検査には以下が含まれます
- コレステロール検査:総コレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロール、トリグリセリドのレベルを測定します。
- 血糖値検査:糖尿病の有無を確認します。
超音波検査(頸動脈エコー)
超音波検査(エコー):動脈の壁の厚さやプラークの存在を評価します。特に頸動脈エコーが一般的です。
生理機能検査
心電図(ECG)を行い、心臓の電気的活動を評価し、心筋梗塞や狭心症の有無を確認します。
画像診断検査
頸動脈エコー検査で動脈硬化の進行が疑われる場合は、下記精密検査を必要とする場合もあります。当院では実施しておりませんので、必要に応じて専門機関をご紹介します。
- 血管造影検査:X線を用いて血管の内腔を観察し、狭窄や閉塞の有無を確認する。
- MRI/CT血管造影:詳細な血管の画像を提供し、プラークや血管狭窄の評価を行う。
動脈硬化によるプラーク血管
動脈硬化によるプラークは、動脈壁の内側に脂肪性物質が蓄積して形成されます。これにより、動脈の内腔が狭くなり、血流が制限されます。プラークが破裂すると、血栓が形成され、完全に血管を閉塞することがあります。これが心筋梗塞や脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)の原因となります。
動脈硬化の改善(治療)
生活習慣の改善
- 健康的な食事:果物、野菜、全粒穀物、低脂肪のタンパク質を多く含む食事を心がける。
- 定期的な運動:週に150分以上の中程度の有酸素運動を行う。
- 禁煙:喫煙を避ける。
- 体重管理:適正体重を維持する。
- ストレス管理:適切な方法でストレスをコントロールする。
薬物療法による改善(治療)
- スタチン:コレステロールを低下させる薬。
- 高血圧治療薬:血圧を管理するための薬。
- 抗血小板薬:血栓の形成を防ぐための薬。
動脈硬化が進行している場合は外科的治療(血管形成術、バイバス手術)が必要になる場合もありますので、動脈硬化について健康診断等でチェックすることが重要です。
動脈硬化の合併症
動脈硬化の合併症には以下が含まれます。
- 冠動脈疾患:心筋梗塞や狭心症を引き起こします。
- 脳血管疾患:脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)を引き起こします。
- 末梢動脈疾患:下肢の血流が低下し、痛みや潰瘍を引き起こします。
- 腎動脈硬化:腎不全を引き起こす可能性があります。
動脈硬化に関するよくある質問
動脈硬化の初期症状は何ですか?
初期段階では無症状のことが多いですが、進行すると胸痛(狭心症)、歩行時の脚の痛み(間欠性跛行)、高血圧などの症状が現れることがあります。
動脈硬化の危険因子(リスクファクター)は何ですか?
高血圧、高コレステロール、喫煙、糖尿病、肥満、運動不足、ストレス、遺伝的要因などが危険因子(リスクファクター)です。
動脈硬化の予防に効果的な食品は何ですか?
果物、野菜、全粒穀物、ナッツ、魚(オメガ-3脂肪酸を含む)、オリーブオイルなどが予防に効果的です。ただ、患者様の健康状態によっては摂取を控えた方が良い食品がある場合もあるので、しっかりと健康診断を行って後に医師の指示に従ってください。
動脈硬化によくない食べ物は何ですか?
コレステロールを多く含む食品(動物性レバー、卵類)、ひき肉、鶏肉の皮、ラード、バター、生クリーム、洋菓子、マーガリン、スナック菓子、揚げ物は控えるようにしてください。
動脈硬化の家族歴がある場合、どのくらいの頻度で検査を受けるべきですか?
家族歴がある場合、定期的な健康診断や医師の指示に従った検査を受けることが推奨されます。具体的な頻度は医師と相談して決めます。
コレステロールを下げるためにはどうすれば良いですか?
健康的な食事、定期的な運動、体重管理、禁煙、医師の指示に従った薬物療法が有効です。
動脈硬化は遺伝しますか?
遺伝的要因は動脈硬化のリスクを高める一因となります。家族に動脈硬化や心血管疾患の病歴がある場合、そのリスクが高くなるため、早期からの予防と定期的な検査が重要です。
動脈硬化はどのくらいの年齢から始まる可能性がありますか?
動脈硬化は若年時から始まる可能性がありますが、症状が現れるのは中年以降が多いです。危険因子(リスクファクター)がある場合は、若年時から予防対策を講じることが重要です。
ストレスは動脈硬化にどのように影響しますか?
慢性的なストレスは血圧を上昇させ、動脈硬化のリスクを高めます。また、ストレスは不健康な生活習慣(喫煙、過食、運動不足など)を助長し、動脈硬化を進行させることがあります。
動脈硬化が進行すると(放置すると)どのような症状が現れますか?
動脈硬化が進行すると、狭心症による胸痛、間欠性跛行(歩行時の脚の痛み)、一過性脳虚血発作(TIA)による一時的な脳の血流不足の症状、腎機能低下などが現れることがあります。これらの症状が見られた場合は、速やかに医師の診察を受けることが必要です。