腎臓内科

腎臓内科とは

腎臓内科とは腎臓内科とは、主に腎臓の病気について診療を行う内科のことを指します。
腎臓内科では、主に『透析予防』の観点から腎臓の病気について診断・治療を行っております。腎臓病は早期発見・早期治療介入が非常に重要で、相当なレベルにまで進行しないと症状が出ないために発見された時にはもう人工透析開始に近い状態に悪化していたというエピソードが珍しくありません。

健康診断等で下記の結果であった方、該当する方は腎臓内科の受診を勧めます。

  1. 血尿・蛋白尿が指摘された
  2. 血清クレアチニン値の高値を指摘された
  3. eGFRの低下を指摘された
  4. 糖尿病や高血圧を複数年患っている
  5. 浮腫(むくみ)が気になる

健康診断で行われる腎臓の血液検査項目や尿検査項目(多くは尿定性検査のみ)では評価が不十分なことがあり、当クリニックでは必要に応じて尿中蛋白定量検査・尿中アルブミン量検査や血液検査でのシスタチンC測定などを組み合わせて腎機能を評価します。腎臓内科で扱う疾患の例としては、尿検査異常、糖尿病性腎症や高血圧性腎硬化症などから生じる慢性腎臓病、急性・慢性腎炎(免疫病など)、遺伝性多発性嚢胞腎、腎性貧血(腎機能障害があることによって生じる慢性貧血)があります。
原因疾患にもよりますが一度腎機能が低下してしまうと元に戻すことは難しい臓器であるため、当クリニックでは、透析予防を目的に腎臓病の『早期発見・早期治療介入』及び『重症化防止』に力を入れておりますが、既に重度の腎機能障害を抱えておられる患者様に関しては適切なタイミングで腎代替療法(人工透析や腎移植)を行わないと生命に関わる場合がある為、該当されている方には腎代替療法の説明をさせて頂きます。
当クリニックでは日本腎臓学会の診療ガイドラインに則った治療を行っています。
特に慢性腎臓病のある方の多くが糖尿病や高血圧症、脂質異常症を患っており、糖尿病薬や血圧降下薬を開始する際にも腎保護作用があるとされる薬剤を選択しています。
既に他院様を受診されている方につきましてもご相談を承ることが可能ですので遠慮なくご相談ください。

腎臓内科、泌尿器科どちらを受診した方が良いか?

  • 尿路結石症(腎臓結石が尿路や膀胱に詰まって激しい腰痛を引き起こす)
  • 前立腺肥大症や前立腺癌
  • 腎臓の腫瘍
  • 膀胱の腫瘍

上記の症状・病気に関しては基本的に泌尿器科が専門分野になります。

腎臓の働き

腎臓は体の腰よりやや高い位置の背中側に背骨を挟んで左右1個ずつ存在します。そら豆のような形をしたこぶし大の大きさで重さ1個150グラムほどの重要な臓器です。腎臓が老廃物や水分などを排泄し、尿をつくる為の臓器であることはよく知られていますが、これ以外にも生命と健康を維持するために重要な働きをしています。

  1. 老廃物の排泄
  2. 水分の調節
  3. 電解質バランスの調節
  4. 血液中の酸とアルカリの調整(pHの調整)
  5. 造血刺激ホルモンの分泌
  6. ビタミンDの活性化
  7. 血圧の調整

腎臓の働きADPKD.JPより引用

腎臓内科で扱う主な症状・疾患

尿潜血

検査イメージ尿潜血とは、尿に血液(赤血球)が混じっている状態です。原因としては、糸球体腎炎、尿路がん、性器がん、尿路結石や腎盂腎炎や膀胱炎といった尿路感染症などで、特に糸球体腎炎の場合は腎臓に何らかの炎症が起こっていると考えられます。いわゆる風邪や疲労で一時的に生じることもありますが、何らかの疾患を抱えている場合、早期に治療しなければ悪化することもあります。定期健診などで尿潜血を指摘された場合は早めに受診するようにしましょう。

たんぱく尿

たんぱく尿とは、腎臓や泌尿器の機能障害で尿に必要以上のたんぱく質が出てしまうことを指します。現代では糖尿病や高血圧といった生活習慣病が原因となっている事が多いのですが(糖尿病性腎症や高血圧性腎硬化症)、膠原病のような免疫病や薬の有害事象、感染症などさまざまな理由で生じる「慢性腎炎」や「急性腎炎」でも出現します。原因によってそれぞれ治療法が異なります。陽性と診断された場合は早めに詳しい検査を受けましょう。

腎不全(急性腎不全・慢性腎不全)

腎不全とは腎臓の機能が低下し、老廃物を十分に排泄できなくなっている状態を指します。腎不全は急激に機能が落ちる「急性腎不全」と、数か月から数十年の長い年月をかけて腎臓の働きがゆっくりと悪くなる「慢性腎不全」があります。昨今では急性腎不全は『急性腎障害』という呼び方に変わってきています。慢性腎不全の方に関しては、腎機能が低下してくる前からの広い概念で『慢性腎臓病(CKD)』という呼ばれ方で包括されるようになってきています(下記に詳述)。急性の場合は治療によって腎機能が回復する可能性がありますが、慢性の場合は悪化してしまうと失われた機能を取り戻すことが不可能になります。また、急性の場合は急に尿が出にくくなるなどの初期症状がありますが、慢性の場合は自覚症状がないままゆっくりと進行していくのが特徴です。さらに徐々にむくみ・疲労感・食欲低下・息切れ・皮膚が痒いなどの症状が現れます。慢性腎不全に対しては一般的に生活指導や内服薬で進行を遅らせる治療を行いますが、進行し末期腎不全に至ってしまえば、人工透析治療や腎移植を検討せざるを得なくなります。

慢性腎臓病(CKD)

慢性腎臓病(chronic kidney disease = CKD)は、主に生活習慣病(糖尿病、高血圧、肥満などメタボリックシンドローム)を背景とする糖尿病性腎症や高血圧性腎硬化症を元に発症したり、糸球体腎炎などが原因で腎臓の働きが徐々に悪くなっていく病気です(下記に詳述)。CKDはメタボリックシンドロームとの関連が深く、誰でもかかる可能性があります。患者さんは日本国内に1330万人いると言われています。つまり、20歳以上の8人に1人がCKDであると推定され、『新たな国民病』とも言われています。

糖尿病性腎症

糖尿病3大合併症の一つで、腎機能が低下する疾患です。血糖値の高い状態が続くと、腎臓で尿をつくる毛細血管に障害が起きます。血糖コントロールを出来る限り正常化に近づけ、腎機能障害の進行を遅らせる治療を早期に行うことが重要です。進行すると末期腎不全となり人工透析が必要となります。人工透析の原因疾患の第1位が糖尿病性腎症です。

高血圧性腎硬化症

高血圧が続くことで動脈硬化が起こり、腎機能が徐々に機能を失っていく疾患です。早期に発見し血圧コントロールを行い、定期的な腎機能評価を受けることで、進行を遅らせる事が重要です。こちらも進行すると末期腎不全となり人工透析が必要となります。人工透析の原因疾患の第2位が高血圧性腎硬化症です。

糸球体腎炎

糸球体腎炎とは、腎臓の糸球体に炎症が生じることで、たんぱく尿や血尿が出る疾患です。「慢性糸球体腎炎」と「急性糸球体腎炎」に分けられます。
糸球体腎炎の多くの病気が腎生検の適応疾患となります。
人工透析の原因疾患の第3位が慢性糸球体腎炎です。

急性腎炎症候群( PSAGN:溶連菌感染後急性糸球体腎炎)

急性糸球体腎炎は一過性の急性腎炎症候群で、A群β溶連菌によって起こる咽頭炎や扁桃炎などが原因で、発症の1~3週間後に、高血圧・むくみ・たんぱく尿・血尿・尿量減少などの症状が現れます。小児や若年者の発症が多い傾向がありますが、幅広い年代で発症します。適切な治療を行うことで後遺症を残さずに完治できます。

鑑別疾患

IgA腎症があります。感冒(かぜ)などをきっかけに急性の発症の場合は血尿など同様の症状が見られます。

急速進行性腎炎症候群(RPGN:急速進行性糸球体腎炎)

数週から数ヶ月の単位で急速に腎臓の働きが悪くなってくる病気です。頻度的にはANCA関連血管炎という膠原病由来が代表的です。血尿、蛋白尿、貧血を認め、倦怠感や発熱、体重減少などをきっかけに医療機関を受診され診断されることが多く、比較的高齢の方に多い疾患です(平均発症年齢65〜70歳)。時に間質性肺炎という肺の病気の合併を認めることがあります。治療法としては、ほとんどの症例でステロイドを使用し、効果が不十分であれば免疫抑制薬を使用します。必要に応じて「血漿交換療法」という治療を行ったり、血液透析療法を実施することがあります。

主な原因疾患

慢性糸球体腎炎

IgA腎症が代表的ですが、他に膜性腎症などの種類があります。特に症状がなく検診などで尿蛋白や血尿を指摘されて、初めて気づかれる方も多い疾患ですが、尿の異常が持続することで徐々に腎臓の働きが低下していくこともありますので早期の診断が重要となります。特にIgA腎症は、1968年に発見された比較的歴史の浅い疾患で、昔は予後が良いとされてきましたが、1990年代になり『20〜30年で40%前後が末期腎不全に至る』ことが報告されており、実は予後が良いとは言えない疾患であることが判明してきており、治療手段としては一般的に、食事療法(塩分、蛋白制限)に加え、腎臓を保護する作用のある降圧薬(血圧を下げる薬)を投与します。さらに我が国では、異常IgAの産生を抑えるための扁桃摘出術を行った上で、糸球体の炎症を抑えるためのステロイドパルス療法を組み合わせた治療【扁桃摘出術+ステロイドパルス療法】が良好な治療成績を示しており広く行われています

ネフローゼ症候群

「原発性」糸球体腎炎でも「続発性」糸球体腎炎でも起こりえますが、尿中に大量の蛋白が漏れ出てしまうことで、血液中のタンパク質(アルブミン)が減少し、全身性のむくみを生じる病気のことを言います。脂質異常症を合併することが多く、診断基準は下図の通りです。治療法としては一般的に、食事療法(塩分、蛋白制限)に加え、腎臓を保護する作用のある降圧薬(血圧を下げる薬)を投与し、むくみを取るために利尿薬も投与します。多くの腎炎でステロイドを使用し、効果不十分の場合や再発を防止するために免疫抑制薬を使用することもあります。

ネフローゼ症候群の判断基準
  1. 蛋白尿:3.5g/日 以上が持続する。
  2. 血清アルブミン:3.0g/dL以下
    (血清総蛋白:6.0g/dL以下)
  3. 浮腫
  4. 脂質異常症(高LDLコレステロール血症)

①②は必須条件、③④は参考条件

人工透析が必要と言われセカンドオピニオン受診を希望される場合

他の病院・クリニックにかかりつけで腎臓病の通院治療を受けていたが、ある日かかりつけ医より突然に人工透析が必要と言われてしまったとのご相談を頂くことがあります。

このようなケースで当クリニックでのセカンドオピニオン受診を希望される場合、当クリニックで行っている通常のインターネット予約システムではなく、お電話でのご予約をお願い致します。実際の受診の流れは下記となります。

セカンドオピニオン受診の流れ

Step1お電話でのご予約

Step2当クリニックが指定する時間に来院していただき結果説明

  • かかりつけ医療機関に当クリニックでセカンドオピニオンを受ける許諾を頂き、
    これまで行った検査資料一式が含まれた診療情報提供書を発行して頂き来院日に必ずご持参ください。

セカンドオピニオン受診の時間・費用

所要時間

最大1時間程度まで
(ご相談のお時間:約30〜45分 ・ 医師による報告書作成:約15〜30分)

費用

44000円(税込)

  • セカンドオピニオンは全額自費診療となり健康保険は使えませんのでご注意ください。
  • お問い合わせ、ご予約に料金はかかりません。
  • 料金はセカンドオピニオン外来受診当日のお支払いが必要です。
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