健康診断で「要経過観察」と言われたら病院に行かなくていい?放置してよいケース・受診した方がよいケースを医師が解説
健康診断の結果を見て迷っていませんか?
健康診断の結果表に「要経過観察」、「生活習慣の改善をおすすめします」、「すぐの治療は不要」と書かれていると、「異常ではないなら大丈夫かな」、「忙しいし病院に行くほどではないかも」と感じ、そのままにしてしまう方は少なくありません。しかし実際には、この「要経過観察」こそ体からの早めのサインであることが多くあります。
「要経過観察」とはどんな状態?
健康診断における「要経過観察」は、今すぐ治療が必要な状態ではないが、正常とも言えない段階を意味します。多くの場合、
- 血糖値が少し高い
- HbA1cが境界域
- コレステロールがやや高い
- クレアチニンやeGFRが軽度異常
- 尿たんぱくが出ている
といった、「病気の入り口」にあたる数値です。症状がないため軽く見られがちですが、ここから徐々に進行するケースもあります。
なぜ「様子を見ましょう」と言われるのか?
健康診断は、多くの人を短時間で評価するための“スクリーニング検査”です。
そのため、
- 一時的な体調
- 前日の食事
- 水分不足
- 睡眠不足
などでも数値が変動することがあります。すぐに病気と断定できないため、「まずは経過を見ましょう」という判定になるのです。ただしこれは「何もしなくてよい」という意味ではありません。
放置してしまうと起こりやすいこと
生活習慣病の多くは、初期には自覚症状がありません。
例えば、
- 糖尿病 → 気づかないまま血管障害が進行
- 腎臓病 → 症状が出た時には機能低下が進んでいる
- 高血圧 → 動脈硬化が徐々に進む
といった特徴があります。特に腎臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、悪化しても体調変化を感じにくい臓器です。
受診を検討した方がよいサイン
次のような場合は、一度医療機関での確認をおすすめします。
- 毎年同じ項目で指摘されている
- 数値が少しずつ悪化している
- 血糖値・HbA1cが基準値に近い
- 尿たんぱくや腎機能の異常がある
- 家族に糖尿病・腎臓病の方がいる
「異常ではないから安心」ではなく、変化が続いていること自体が重要なサインです。
早めに確認するメリット
要経過観察の段階で受診する最大のメリットは、治療ではなく「予防」ができることです。この段階であれば、
- 食事や生活習慣の見直しだけで改善する
- 薬を使わず管理できる
- 将来の合併症リスクを下げられる
可能性が高くなります。逆に、数年後に数値が大きく悪化してからでは、治療が必要になるケースもあります。
「病院に行くほどではない」と感じる方へ
外来では、「もっと悪くなってから来るものだと思っていました」という声をよく耳にします。しかし医療機関は、病気を治療するだけでなく、悪化を防ぐために相談する場所でもあります。健康診断の結果を一度専門的な視点で確認することで、安心につながる場合も多くあります。
当クリニックでは健康診断後の相談も可能です
当クリニックでは、
- 血糖値・HbA1cの評価
- 腎機能(eGFR・クレアチニン)の確認
- 将来リスクの説明
- 無理のない生活改善アドバイス
を行っています。「治療が必要かどうか知りたい」、「生活改善だけで大丈夫か確認したい」、という段階でのご相談も可能です。健康診断の結果をお持ちのうえ、お気軽にご相談ください。
よくある質問(Q&A)
「要経過観察」は「異常なし」と同じ意味ですか?
いいえ、同じではありません。「要経過観察」とは、完全に正常とは言えないものの、すぐに治療が必要な段階ではない状態を指します。いわば正常と病気の中間地点です。
例えば血糖値や腎機能は、ある日突然悪くなるのではなく、少しずつ変化していきます。その途中段階で見つかるのが「要経過観察」です。この段階では自覚症状がほとんどないため安心してしまいがちですが、体の中では生活習慣の影響が現れ始めている可能性があります。つまり、「問題なし」ではなく“今のうちに見直せば改善できるタイミング” と考えることが大切です。
毎年同じ項目で指摘されていますが問題ないのでしょうか?
毎年同じ指摘が続いている場合、注意が必要です。数値が大きく悪化していなくても、
- 境界域の状態が長期間続いている
- 体に負担がかかり続けている
可能性があります。特に糖尿病や腎臓病は、ゆっくり進行する病気です。変化が小さいため気づきにくいですが、数年単位で見ると徐々に悪化しているケースもあります。
「去年と同じだから大丈夫」ではなく、“なぜ改善していないのか”を確認することが重要です。
再検査はどれくらいの期間で受けるべきですか?
一般的な目安は3〜6か月以内ですが、検査項目によって異なります。
例えば、
- 血糖値・HbA1c → 約3か月後
- 腎機能(クレアチニン・eGFR) → 3〜6か月後
- 脂質異常 → 生活改善後3か月程度
血液データは生活習慣の影響を受けやすいため、一定期間後に再評価することで「一時的な異常」か「継続的な変化」かを判断できます。自己判断で数年放置してしまうより、早めの再確認が安心につながります。
生活改善だけで本当に数値は戻るのでしょうか?
要経過観察の段階では、生活習慣の見直しだけで改善するケースは珍しくありません。
特に影響が大きいのは、
- 体重のわずかな減少(3〜5%程度)
- 食事内容の見直し
- 夜遅い食事の改善
- 軽い運動習慣
糖尿病予備軍の場合、早期であれば薬を使わず管理できることも多くあります。ただし自己流の極端な制限は長続きしないことが多いため、無理のない方法を確認することが大切です。
症状がまったくなくても受診してよいのでしょうか?
むしろ症状がない段階での受診が理想的です。
生活習慣病の多くは、
- 痛みがない
- 体調の変化がない
- 日常生活に支障がない
まま進行します。症状が出た時には、すでに血管や腎臓に負担がかかっている場合もあります。健康診断は「症状が出る前に見つける」ための検査ですので、異常を指摘された段階で相談することが将来の予防につながります。
紹介状がなくても受診できますか?
多くの内科・専門クリニックでは紹介状がなくても受診可能です。健康診断の結果は、それ自体が重要な医療情報になります。結果表を持参いただければ、現在の状態を評価できます。紹介状が必要になるのは、高度な専門治療や入院が必要な場合が中心です。
「まず相談だけしたい」という段階でも問題ありません。
検査は痛いものや時間がかかるものですか?
基本的には負担の少ない検査が中心です。
一般的には、
- 採血検査
- 尿検査
- 血圧測定
- 必要に応じて超音波検査
などが行われます。採血は数分程度で終了し、特別な準備が不要な場合も多く、日常生活への影響はほとんどありません。
どの診療科を受診すればよいか分からない場合はどうすればいいですか?
健康診断で指摘された内容によって適した診療科が異なります。
例えば、
- 血糖値・HbA1c → 内科・糖尿病内科
- クレアチニン・eGFR・尿たんぱく → 腎臓内科
- 血圧や脂質 → 一般内科
迷った場合は、まず生活習慣病を幅広く診られる内科で相談すると適切な判断が受けられます。診療科選びで悩む必要はなく、早めに相談すること自体が大切です。
健康診断の数値は体調や前日の生活で変わることがありますか?
健康診断の結果は一時的な体調や生活状況の影響を受けることがあります。
例えば、
- 前日の食べ過ぎや飲酒
- 水分不足
- 睡眠不足
- 強いストレス
- 激しい運動の直後
などによって、血糖値や腎機能、尿検査の結果が一時的に変動することがあります。
ただし重要なのは、「一度異常が出た」という事実です。偶然の変動であっても、体が影響を受けやすい状態である可能性があります。そのため、自己判断で「今回はたまたま」と決めつけるのではなく、必要に応じて再検査や医師の評価を受けることで、本当に問題がないか確認することが安心につながります。
まだ若いのですが「要経過観察」でも気にした方がいいですか?
年齢に関係なく注意することが大切です。近年は30〜40代でも、
- 糖尿病予備軍
- 脂質異常
- 軽度の腎機能低下
が見つかるケースが増えています。若い年代では症状が出にくいため、「年齢的に大丈夫」と考えてしまいがちですが、生活習慣病は長い年月をかけて進行します。むしろ若いうちに生活習慣を整えることで、
- 将来の糖尿病や高血圧を防ぐ
- 腎臓への負担を減らす
- 薬が必要になる可能性を下げる
といった大きなメリットがあります。「まだ若いから様子見」ではなく、今の状態を知っておくことが将来の健康管理につながります。


